A-40 脳卒中の後遺症-施術法は?

質問40

ST-1を受講してから半年も経ちませんが、色々な症状をお持ちの方を施術させていただいてます。
先日、60代女性で脳出血後遺症で右半身麻痺の方を施術しました。右半身麻痺といっても比較的軽い状態で家事や炊事もでき、ぎこちなくはありますが歩行も杖なしで行うことができます。
主訴は、右腕と右脚(足裏まで)の痺れや違和感が辛いとのこと。今回は時間が40分しか無かったため、横向きでの施術のみ行うことにしました。全体的にとても気持ちが良いと大変喜んでいただいたのですが、右3番と10番、12番に鋭い痛みを感じられたようです。特に右12番は押圧するとすごい筋緊張が入って足関節が固まってしまい、一瞬ヒヤリとしました。
そこで質問なのですが、こういった脳出血の後遺症のあるクライアントさんを施術する際の注意な点やポイントなどあれば教えていただけないでしょうか?(福岡県 Yさん)

 

回答
脳卒中の後遺症ですね。
実をいうとこういう症例はあまり好きじゃありません。
施術は好き嫌いの問題ではないですのが、以下理由を述べましょう。

重症化すると体勢自体にかなり制限が出てきます。すると、施術パターンが限られてしまいますね。故にベストパフォーマンスには程遠い施術となってしまって、術者としてはストレス全開状態になります。
施術ストレスは術者の寿命を縮めますから、残り少ない自分の生を全うするという意味でも避けたい症例になってしまうわけですよ。

 

しかし、幸いなことに私は出自が足揉み屋さんなので、足の施術から入ることが出来ます。

 

1、仰向け状態から足の施術。
2、膝裏までやって、逆の足
3、斜角筋から胸部~腕(左右)→基本手技のとおりで良い
4、腹証
5、股関節の操作
6、主訴対応(痛みなど)→体勢を変える(このときばかりはなんと  

  か協力してもらう)
7、もう一度仰向けに戻ってネック&クラニアル

 

以上の組み立てですと、施術ストレスはほとんど感じなく済みます。

 

脳卒中で麻痺が残るということは脳の一部の組織が壊死して機能していないとことですよね。我々に出来ることは、代償作用が上手く働くよう、つまりシナプスがドンドン作られていくように誘導していくことです。
それには脳脊髄の1次呼吸の回復を早めるということに尽きますね。
全身での経絡反応によっても1次呼吸の改善促進は見込めますが、この場合の症例では体勢に無理が生じるので、上記の施術法によって、つまり脳の機能回復に特化する施術法を採用することになるわけです。

 

足は第2の脳と言われているくらいですから、脳卒中のリハビリには非常に有効です。まずはここから入るというのは理に適っているのですよ。

 

斜角筋でよく響かせると脳にカツが入ります。

 

さらに腹証。これは「腸は脳より賢い」という腸の専門家が書いた本があるように、腸と脳は母子関係にあるくらい直接的なやりとりをします。難しく考える必要はありません。腹部操作は脳に多大な影響を与えるということです。

 

こわばった股関節を緩め、主訴対象の施術に移行し、フニッシュはより直接的なネック&クラニアル。

 

とまあ、こんな感じで施術を組み立てるとベターなのですが、問題がありますよね。

 

まだステップ1の段階だということ・・・
基本手技-全身施術のやり方しか知らないという段階だ。

 

しかし、今回の症例は軽症のようです。
体勢的にもほぼ普通に出来そうな感じかな。

もしそうなら全身の経絡反応を利用して、脳の代償促進を図ることが出来そうです。

 

この場合の注意点は他の難病系の注意点と全く同じ。


とにかくゆっくり注意深く、圧が浸透するまで持続圧を行い、それを繰り返していきます。すると必ず経絡反応が起きてきます。
経絡反応はその人にとって不都合な部位へ促通効果として働きますから、それを信じ、そう願い、そして粘り強く、辛抱強く行うことが重要です。

 

 

A-39 股関節の症状

質問39

来週、初めて治療する方ですが、股関節の具合が悪いとのことです。足もみならすぐ治せると思ったのですが、整体でなおしたいとのご要望でした。ST1の技術で何処までできるでしょうか?どこを重点的に押せばいいでしょうか?教えていただければうれしいです。

毎月大体8人から10人の方を施術させていただいています。ちよっとプロっぽくなってきたかなあ?また、そのうちステップ2に呼んでくださいね。

(埼玉県 Hさんより)

 

回答

いやはや変わったクライアントさんですね。整体という指定があるわけですか。

Hさんの整体のウデが良いという評判を聞きつけて、ということでしょうか?

 

うん、そういうことにしておきましょう。

 

さて、股関節。

整体での基本手技(ST1)は、実をいうと股関節症状を完全カバーしているとは言えません。

 

それでもやるとすれば・・・

とにかく、股関節回り全体を緩めるということを基本として考えてみてください。

 

うつ伏せでいうと、8番、9番、10番

横向き、8番、8.5番 9番、11番

 

以上の操作を入念に行うことによって、股関節筋は多少緩むと思います。

 

緩めば、股関節回りの血流、リンパ流が回復され、仮にトリガーポイントの関連痛であっても沈静化されやすくなりますし、関節そのものの問題であっても復元力が働いていく素地を作ることになります。

 

これで当面、対応してみてください。

 

股関節の限らず、関節の症状というのはトリガー処理して、関節そのものを少し動かす、というのが原則になります。(動かせないほど痛ければ別ですが)

 

症状の軽重にもよりますが、股関節はちょっと時間がかかるかもしれませんよ。

A-38 固すぎる背中の持ち主

質問38

64歳男性 足の施術8回 整体9回 初診日4月12日
(8月9日現在)


主訴:肩こり、腰痛、首の張り、背中の張り
20年前にゴルフ中にぎっくり腰が発症。仕事柄座っていることが多く、週1回のゴルフなど時々無理すると再発する、とのことです。


治療経過:
足もみ4回目頃、身体の調子の良いことを実感され、6回目には腰も調子の良くなって来ました。5月半ばから始めた整体をいたく気に入り、8回は週に1回、その後は3週間に一回で継続しています。当初下記の部位に痛みがありましたが、最近は臀部(うつ伏せ、横向け)、腰方形筋、ヒラメ筋(内、外)が痛くなくなってきました。他も痛みが減ってきました。


質問内容
この方の背中(大椎~横隔膜にかけて)は鉄板のように固く、背押し、胸椎際を押す際に難儀します。何でも、昔、近くの指圧の先生によく揉んでもらったり、機械でもみほぐしたりしていたとのこと。9回全身施術しましたが、変わらず硬いんです。どんな原因が考えられますか?ほぐれていく見込みはあるでしょうか?施術スパンや揉み方等で調整できる点がありますか?(三重県 Nさん)

 

回答

固すぎる背中ですか。
頻度的に少なくはないですよ。
結構、難儀するクライアントさんに巡りあいます。

背中が固くなる原因というのは幾つかありましてね。

 

まず、内臓反射。
内臓に何らかの異常(機能低下も含め)がある場合、体壁反射から背中の筋肉がコリコリになってしまうこともあり得ます。

 

二つ目は姿勢の悪さとか運動不足によって、筋短縮が起きるということ。特に男性の筋肉は速筋(白筋)が多いので、運動不足によって短縮しやすいものです。(週一のゴルフが運動のうちに入るかどうかは異論があるところです)

 

要するに、ライフスタイルと体質という実に一般的な理由になってしまうわけですが、であるが故に、ライフスタイルの変更を伴いませんと、中々柔らかくなってきません。

 

ある意味、実感できるような「緩んだ感」がないまま施術を続行しなければならない場合もあると覚悟してください。

施術者として緩んだ実感がないというのは実にストレスが溜まりますけどね。でも、そういう場合もあるという経験をすることはたいへん有意義なことだと思います。

 

実感できるような柔らかさを感じなくても、当人(クライアント)は非常に楽になったという印象を持つこと度々なので、めげないでくださいね。

 

もう一つ付け加えたいのは、ST1の段階で背中の施術と言えば、うつ伏せ-背圧し、横向き-胸椎際の二つですよね。


実はST3で脊柱起立筋処理という新しい方法論が出てきます。
実際、背中が固いと言った場合、そのほとんどが脊柱起立筋の固さを指して言ってことが多いのです。

この脊柱起立筋は背中のみならず腰や殿部に症状を出すこともあって、中々の曲者。
ここへアプローチする手技を加えると少しは感じが違ってくるかもしれません。

 

これについてはステップアップを待って頂くしかないので、この段階で具体的なアドバイスはできませんが、それまでなんとかしのいでいてください。

大変、心苦しいのですが。よろしくお願いします。


 

A-37 頚部損傷とドライアイ

質問37
50代後半、女性 
主訴:不安感、頭痛、目の異常、更年期障害

小学生の時、仙骨を強打したそうです。そして1年前、交通事故(自損)で頚椎(5,6番の間が狭くなる)損傷しました。事故以降、目が異常にしみる、頭痛がするとのことです。眼科ではドライアイと診断されました。

トリガーポイントを運用している整体を探していたとのことで、早速来週月曜日に予約を入れて行きました。しかし、私はまだ、目の症状を緩和するTPを学んでいないことが不安です。この時点で私はこの患者さんに何をしてあげられるでしょうか?また、損傷している頚椎5,6番と仙骨を触られることに不安をもっていらっしゃいます(内心、触らないでどうしろというのだろう、と思いました。)。損傷部の施術で注意点がありますか?損傷の程度などまだ十分に確認できておらず、申し訳ありません。ご指導よろしくお願いします。
(三重県 Nさん)

 

回答
なるほど、事故後、目の異常感と頭痛に悩まされているとのことなのですね。


このような症例を聞く度に、頚筋の目に対する影響力や、頭痛の主原因であるという事実をあらためて確認できます。


さて、目に関連の深い頚部の筋は、まず「後頭下筋群」「頚板状筋」が挙げられるでしょう。確かに、ステップ1ではこのような具体的な筋肉名やポイントについては触れていませんでした。


しかし、とても重要な部位ですので、実は基本手技の中で、ここを入念に行うように組み入れてあります。


うつ伏せですと5番-後頭骨際がそのまま「後頭下筋群」へのアプローチになりますし、頚部第2ラインが「頚板状筋第1TP」を通過していくように設計してありますので、まずは5番の施術を重点にしてください。

 

さらに、頚部は肩の拘束から症状を憎悪させるので、6番-肩部2ポジション、7番-肩甲骨内縁部も重点にします。
要は基本手技のうつ伏せ5番、6番、7番をしっかりやってくださいということに尽きるのですが、できれば横向きでの頚部も丁寧に行うことをおすすめします。

 

実は目や頭痛に対するポイントはそれだけではありません。胸鎖乳突筋胸骨頭という筋がこのケースでの症状憎悪に重要な役割を果たしていることもあり得ます。しかし、この部位は施術方法が極めて特殊な為、基本手技の中に組み入れませんでした。
したがいまして、基本手技だけではやや不完全な処置になるとは思います。それでも、症状緩和には充分繋がっていくと思いますので、まずは基本手技で習ったことを十全に行うことをこころがけてください。(ステップ2で胸鎖乳突筋の処理の仕方を学びます)

 

「仙骨」のことですが、やはり関係していると思いますね。
仙骨拘束は最終的には頚部リンパ流を阻害させます。普通はそのことによって、耳の症状に現れやすいのですが、今回のように目の状態を悪化させる遠因となっていても不思議ではありません。


ただ、小学児童時からのものですから、その拘束を解き放つのは容易ではないと思います。うつ伏せによる仙骨押圧を丹念に行うより他ありません。

 

頚部や仙骨に触られるのに不安を持っているとのことですが、このようなクライアントさんが神経質になる気持ちは分かります。焦らず、静かにゆっくりと、施術するよう心がけてください。
施術に対する不安がなくなれば、それだけで良い影響を与えるでしょう。ある意味、それがキーポイントになるかもしれません。

 

A-36 精索静脈瘤による不妊

質問36

左側の腰痛で来られた25歳男性なのですが、精索静脈瘤で不妊に悩まれています。
手術により精子の数が何千→何十万になったらしいですが、健常者だと四千万くらいらしく、まだまだ出来にくいそうです。昨年の12月に前立腺炎も患っておられます。
Step1の段階ではどこを重点にすればよいでしょうか?宜しくお願いします。(奈良県 Dさん)

 

回答 

精索静脈瘤をウィキペディアで調べてみると98%が左側で発症するのだそうですね。
これが左側の腰痛と何らかの関係があるのかもしれません。
さらに前立腺炎を患ったわけですか。これも腰痛を治りづらくさせる病気なんですよね。

(そういうクライアントさんを診たことがあります)

 

ご質問の不妊の件ですが・・・
TP体系でなんとかするとなると、腸腰筋、下部腹筋群、内転筋(恥骨筋含む)あたり該当しますが、ステップ1の段階では腹部操作がありませんので、内転筋のみのアプローチのみになりますね。
或いは、足の施術(リフレ)が功を奏する場合もあります。

 

4千万必要なところ、数万というオーダーですか。
中々厳しいですね。
奥さんの施術もして、着床しやすい体質にするというのも必要かもしれませんよ。

 

現時点ではそれくらいしか言えませんが、腹証セミナーに一回出たら良いのではないでしょうか。セミナーですから3時間で済みますし。
按腹ができるようになれば、かなり良い影響を与えることができる思います。

 

A-35 ギックリ首の処置

質問35

先日足もみの患者さんでぎっくり首になったかたを治療しました。すごく改善されてよく動くようになったのですが、そのような方を整体ですぐに治療しても大丈夫でしょうか?少し首の様子が落ち着いてからのほうが整体はいいのでしょうか?教えていただければうれしいです。 (埼玉県 Hさん)

 

回答
急性で起きる症状というのは、筋断裂を伴い、そこから炎症が起きている可能性があります。
今般、首を触らないで、足揉みで改善出来得たとのことですから、セオリーどおりの処置を行ったのではないかと思います(炎症の可能性がある部位から一番遠いところですからね)


さて、整体で急性的な症状を処置しよとする場合も全く同じ考え方で、炎症の起きている部位への施術は基本的に禁忌と考えてください。


ですから、首そのものをやっても良いのですが、未だ微小の炎症が起きているとすると、その部位を避けてやらねばなりません。そうすると、その炎症が起きた部位を特定できるどうか?ということになるわけですが、炎症部位というのはTPの痛みと違いまして、痛む処、ソコで起きています。
ですから、その痛いという部分を避けて行なってください。

(施術するとすればね)


ただし、痛みが漠然としていて局所的に特定できない場合も多いですから、その場合は質問の中にもあるとおり、少し落ち着いてからのほうが安全かもしれません。
今、どういう状態でいるのか、実際に診ていないので、正確な判断は下せないのですが、安全策を採るというのが原則だと思います。
冒険しないで、もう少し様子をみたら良いのではないでしょうか?

 

A-34 基本手技6番、第2ポジションの施術について

質問34

6番の肩部ですが、椅子に座って脇の下へ突き抜けるように深く押しますね。肘などにピリピリくるあれですが、もし間違ったところを強く押した場合、どんな問題がありますか?
筋や何かの神経に触っている感じで、怖いです。もし間違っていたら、筋を違えたり、しびれが残ったりしませんか?
あれは何を押しているのでしょうか?(原文ママ 愛知県 Yさん)

 

回答

質問の順番とは逆ですが、先に「何を押しているのか?」ということにお答えします。
ステップ2の最初のほうで講義される事柄なのですが、結論から言いますと「僧帽筋第1TP」「肩甲挙筋TP」「後斜角筋TP」を圧しているのです


僧帽筋第1TPというのは首の横の痛み、後頭部痛、コメカミ痛、目の奥の痛みなどの原因を作る非常に重要のポイントになります。
大人の人はまずここにTPを持っていると言っても過言ではありません。そしてTPの活性化によってこららの症状に悩まされた経験があるはず。その頻度がとても多いので基本手技に入れました。


そのままの位置でさらに奥まで届くと、肩甲挙筋という筋肉のTPに達します。
これは首の痛みの原因第一位で、ムチ打ち症などの後遺症で首痛に悩まされている人はほとんどこれが原因と言えます。逆にいうとここに届かないと、それらの症状を取るには力不足ということになりますので、しっかりと圧が届くように練習させた次第です。


さらにその奥には後斜角筋という筋肉があります。肘まで響いたり、肩甲骨まで響くという人がいますが、その場合、この後斜角筋のTPが反応しているわけです。
このTPは「肩甲骨内縁の痛み」を引き起こしたり、昔の人はよく「けんぴきが張る」という言い方をして肩甲骨の内縁部の独特なコリを表現していましたが、その解消にも役立ちます。

 

以上の理由で基本手技6番の第2ポジションとして、取り入れている次第です。


ツボ的な感じではなく、まさにスジの上を押しているかのような感触ですよね。ですから、普通の指圧師や押圧系整体師はここをこのように圧すことはまずないと言って良いでしょう。だから「治せない」慰安系の施術者止まりなのです。

 

詳しくはステップ2でお話することになりますが、このポイントは上半身系のキモになりますので、良き施術者かどうかの分かれ道です。そのポイントを捉えるべく、研鑽して頂きたいと思います。

 

間違ったところを押しても特に相手が過敏な人であったり、圧が強すぎたりしなければ、それによるマイナス(痛みやシビレの残り)はありません。
ただし、不快感はあるかもしれません。


中々難しい処理ですが、マスターする価値が絶対にあると保証しますので、是非、自分のものにしてください。

 

A-33 施術後、一旦痛みが増し、それから良くなった例

質問33
先日、腰痛を訴える友人を施術しました。
足もみをやったあと、うつ伏せと横向きのみ施術しました。施術後、2、3日、腰痛がひどくなり4日目に痛みがなくなったそうです。施術前より痛みがひどくなるというは、メンケン反応でしょうか?
足を揉んだことによるメンケン反応なのでしょうか?
一旦ひどくなり、突然良くなるというのは揉み返しではなさそうな気がします。(原文ママ 愛知県 Yさん)

 

回答
典型的なメンケン反応であることがまず考えられます。本来、メンケン反応というのはダルさが出るというレベルを超え、一旦症状が強まるくらいの反応のことを言います。ですから、今回の例はそれに該当しそうです。
ただ、あまりそういう現象には遭遇したくはないですよね。一時的にせよ、痛みが増すわけですから、クライアントも不愉快ですし、施術者側も気がきではありません。
そういう意味でこういうタイプのメンケンを出さないように「全身整体」という考え方が出てくるわけです。(全身整体はこのタイプのメンケンが出る確率が低くなる)

今回はうつ伏せと横向きをやったとのことですから、ほぼ全身整体と考えて差し支えありませんね。それでもこういう症状が出たということは、やむを得ないケースかもしれません。どうやっても出る人は出ます。

 

それともう一つの可能性があります。それはポイントが的確でなかった場合。
本来的確であれば、一発で症状を鎮められたものが的確ポイントでないため、却ってTPを活性化して痛みが増すこともあるのです。
同じ現象でも正反対の理由によって起きることがあって、その区別は他者には出来ません。
唯一、自身の経験のみがそれを区別できるのです。

 

A-32 殿部筋押圧時のトラブル(けいれん)

質問32
早速、5名ですが基本手技を知人などに施術してみました。
そこで小さなトラブル?に遭遇しました。
それは、施術中に受け手側の筋肉がつってしまったのです。それも、2名とも左小・中臀筋の施術中に。1人は脇腹、もう1名は鼠径部付近に痙攣が。立て続きに起きたのでなぜかなと心配と疑問が湧いてきました。
圧が強すぎたのかなとか・・・
こんなことはよくあることでしょうか?(福岡県 Yさん)

 

回答
早速、基本手技を練磨すべく試してみたのですね。熱心ですね。嬉しく思いますよ。

 

さてさて、小さなトラブル?とのこと。
殿部筋系は局所短縮反応といって、押圧したその部位自体がピクピクと痙攣様の反応を起こすことが多いものです。これは一種のTPサインですので、問題になるどころか、不都合部位を特定できる絶好の現象と言えます。


ところが、今回体験したのは脇腹、そして鼠径部付近がつったというではありませんか。
「こんなことはよくあるでしょうか?」という最後の質問に答えるならば「そんなこと経験したことがありません」としか言えません。


時折、自分の経験にない現象を報告してくれたりして私自身も勉強になりますよ。


さて、どうしてそんなことが起きたのでしょうね。
思うに殿部筋(中殿筋と小殿筋)と腰方形筋は別筋肉にも関わらず、まるで親子のように密接にリンクしあっていますから、殿部筋への刺激角度や刺激量によって、腰方形筋が反応することは充分考えられます。
すると脇腹や鼠径部のツレが起きても不思議ではないでしょう。
(腰方形筋と鼠径部近辺の関係についてはST3で学ぶことになっています)

 

そういうことになると、刺激量と角度に不都合があったのかなぁ、と結論せざるを得ませんね。
なんせYさんはパワーがありますから、角度には充分気をつけたほうが良いですよ。わずかな捻りが入っただけで、変な反応が起きることがありますから。
それに気をつけていれば今後そういうことは起きないと思いますが、また同じようなことがあればもう一度ご相談ください。

 

A-31 嚥下障害

質問31
肺炎で入院したクライアントさんの件についてです。
今までご飯を上手に食べていたので、嚥下する能力が殆ど無いと言われて驚いています。パーキンソン病もあり、1年以上週1回足もみをして来ましたが、整体も首をやっていました。今年になって歯医者さんや他の方から左傾斜が良くなり姿勢が良くなったと言われていました。この数日足もみと整体をやって来たところ円背や首の前傾が良くなって来ました。姿勢が嚥下する時に使う筋肉に影響することはありますか?どこか、良いポイントはありますか?(東京都 Tさん)


回答31
なるほど、パーキンソン病を患っていたのですか。
まず、姿勢が良くなったと指摘されていたわけですね。これは足揉みと整体(首がメインとのこと)の故だとすれば、決して、無理やり姿勢を正すような手技ではないので、嚥下障害の原因にはなり得ません。
おそらく肺炎によって急激な体力の消耗とそれに伴う筋力の低下が原因かと思われます。
対処法と言っても、入院中ということであれば、中々、難しいでしょう。
要は肺炎の状態を早く良くしてあげることが先決なのですが、現在、できる事といえば、足揉み効果による免疫力の増強と斜角筋処理による肺に行くべきリンパ流ブロックの除去、というくらいになりましょうか。
状態がわからないので迂闊なことは言えませんが、刺激に耐えられるようであれば(重篤でなければ)、以上の処置をしたいところです。