A-30 押して痛いところって何?

質問30
足もみですと、痛いところが悪いところです、と説明しますが、整体の場合、痛いところは何で痛いんですか?足もみ同様、その人が耐えられる範囲内での痛みは必要ですか?(愛知県 Yさん)

 

回答30
足揉みの場合「痛いところが悪いところ」という汎用化した表現を使いますが、そうでない場合もあるでしょ?例えば、単に過敏で何処を押しても痛い、という場合。痛いところが悪いところの原則を当てはめると、全身悪いところだらけになって、明日にも命がアブナイくらいの勢いで痛がる人っているではないですか。

 

整体も似ているところがあって、単に過敏で痛いのか、炎症があって、痛いのか、そして圧痛点(コリ-特にトリガーポイント)に上手くあたって痛いのか、様々です。

 

でも、この区別は簡単に付くようになります。心配しないでください。トリガーのできやすいところはだいたい決まっていて、それを覚えれば良いだけの話です。
これはステップ2以降で学ぶことになりますが、今の段階でも、炎症性の痛みかどうかは常識的に分かるでしょうし、過敏かどうかはコミュニケーションの中で分かることです。


つまり、消去法で考えると、残ったのはTPの痛みといことになって、その部分を見つけることは施術上有益です。

そしてその部分は基本的に圧痛があるため、ある程度の痛みはやむを得ないのです。
しかし、その限度を超えないようにするのは質問29でお答えしたとおりです。

尚、「A-2 硬結、圧痛の処理法」も参考にしてください。

 

A-29 押圧加減

質問29
押圧する加減はどのように調整したらいいのでしょうか?痛くしてもいいんでしょうか?(愛知県 Yさん)

 

回答29

もっとも単純にして、もっとも深い質問です。
この押圧の加減問題は最後まで付きまとってくるのではないでしょうか。上級者のQ&A(C-1 圧の閾値について)も参考にしてください。
難しい言葉でいうと「個人によって刺激閾値が違う」ことからこういう疑問が生じてくるわけです。


難しい話はともかくとして、実際の臨床に出てとき、つまり実務的にどうするかをお話しましょう。

 

まず、整体とか指圧とか受けたことがあるかどうかは必ず確認します。受けたことがありますという返事の場合は、それが頻繁であるかどうかも確認します。もし頻繁に受療しているようでしたら、加減は全く必要ありません。(むしろ、物足りない、と言われるかもしれません)

 

もし、初めての経験ということなら、刺激量の調整が必要になる可能性が格段に高くなります。

 

「痛い」という感覚は感受性の賜物ですからね。
「痛い」という語彙の中に含まれている段階はその人によって様々なのです。
「痛くて耐えられない、もう二度とこんな施術はゴメンだ」というレベルで痛いのか?
「痛いけどなんとか耐えらる、良くなるのであれば、これくらいの痛みならOK」なのか?

これを確かめる術は施術のウデというよりもコミュニケーション力にかかってきます。
これくらいのことは探り出せないと施術という仕事は難しいかもしれません。

 

結論からいうと、痛みは必ずしも必要というわけではありませんが、それを感じてしまう体質の人もいますから、その場合は耐えられる範囲で行い、その耐えられる範囲というのは、コミュニケーションの中で施術者自身が感じ取って頂くということなります。

その為にも経験は必要だということになりますね。

 

 

A-28 もみ返し

質問28
健康な友人に試してみましたが、次の日午前中は腰が痛かったけど、午後には治ったそうです。次の日に痛みが残ったらNGでしょうか?間違ったところを押したか、強く押しすぎたのでしょうか?(愛知県 Yさん)  

 

回答28

基本的に残痛が翌日に残る、というのは少ないはずなんです。
それはメンケン反応ではなく、揉み返しの一種ですからね。
しかし、絶対ないか?と問われれば、絶対という言葉は使えないわけですから、ないわけではないというしかないでしょう。


いくら単純推圧が組織を傷めづらく、揉み返しがない、と言いましても、個々の体質というのがあります。過敏な方、筋肉の弱い方などなど・・・そこに圧が微妙によれたり(つまりまっすぐな圧ではない)すると尚、残痛が残りやすいかもしれません。


繰り返しますが、普通はとても少ないはずです。
多分、要因が重なったんだと思いますね。

 

健康な友人に試したということでですが、健康な人に施術は必要ありません。その健康な人がたまたま過敏な方だと、残痛が残る可能性が高いですよ。
圧を必要としていないのに圧を加えるわけですからね。
(それでも、揉み返しは少ないはずなんですが・・・)

健康な人にやる時は練習だと割り切らないと、感想はあまり参考にならないのです。(練習台になってくれるのはとても有難く、感謝せねばなりませんけど)


本人は健康だと思っているのですが、やってみるとコリコリで酷い状態のことがあって、そういう場合は「とても気持ち良かった、いいもんだねぇ」という感想を言ってくれることはあります。でも本当に圧を必要としない健康体の場合は、本人もピンとこないですし、翌日残痛が残る可能性が高いわけです。
「A-8 施術の痛み」のQ&Aも参考にしてください。

 

A-27 おならが出て困る

質問27
足もみの後に整体をすると、腸の働きがとても良くなられるのか、排ガス(おなら)が出てしまう方が何人かいらっしゃいました。
胃腸の働きが良くなられたので、良い事だとお話しするのですが、ご本人さんは気になるご様子なので何かもっと良い説明をする事が出来るといいのに…と思います。
変な質問で申し訳ないと思うのですが、よろしくお願いします。(東京都 Tさん)

 

回答27
確かに変な質問ですね。
Tさんは時々、意表を衝くような質問をしてきます(笑)
でも、こういう質問も大事ですから続けてくださいね(笑)

 

おしゃるとおり、施術中or施術後の"おなら"は悪いことではありません。
胃腸の働きがよろしくない人や、善玉腸内細菌が少ない人に起こりやすいのです。
施術を続けていくと、そういうことがドンドン少なくって、最終的には排ガス現象がなくなります。

 

なくなるまで頑張って施術を続けましょうよ!
腸内を正常にする為のサインですから、今我慢して将来の大病を防ぎましょうよ!

と、クライアントに言えば良いのではないでしょうか。


腸内環境は寿命を決めるという本もベストセラーになったことがあるじゃないですか。東洋医学的には早くから指摘されてきたことですが、ようやく最近、世間でも一般論として知られるようになってきました。だから理解してくれると思いますよ。

 

え?施術で腸内環境を整えることができるのかって?
経絡反応を甘くみちゃいけません。

 

人の身体は自ら整える機能を持っているわけですから、そこを刺激しているのですよ。

その証拠にホントに排ガス現象はなくなります(施術を続けると)。
プラス 腸内善玉菌を増やすような食べ物とかサプリを摂れば、拍車がかかるはずです。

 

おならが出やすい人ほど腸内環境がよろしくない!とアドバイスしてあげてください。
そしてそれが改善できることも!

 


 

A-26 膝内側の痛み

質問26
最近、膝の内側を痛がる方が足揉みに来ている方にいらしていて、整体をお勧めしようかと思います。きっとステップアップで学べる事と思いますが、今の段階で出来る事があったら教えて下さい。(東京都 Tさん)

 

回答26
膝痛はステップ3で学ぶことになりますが、足揉み師にとって膝痛は得意な症状の一つではないですか。まず、足揉みを活かしたほうが良いと思いますよ。
膝の反射区云々はさておいて(さほど効きません)、実は足全体を揉むことによって足首が緩みます。この「足首が緩む」というのが膝の負担を減らし、とても良い影響を与えるのです。
そして、膝裏や膝上をよく揉む、というプロセスを経て施術の修了ということになっていますでしょ。これも膝まわりの循環をよくするので、膝のトラブルを改善する源泉になるわけです。
これらを意識して行うだけでも、随分と違った結果になるのではないかと思いますね。
そしてさらに改善を早めたい場合は、ツボでいうところの「血海」(けっかい)に相当する部位が内側広筋第1TPと呼ばれる膝内側の痛みの元凶となるケースが多いポイントですのでしっかりと圧を加えます。
ネット検索で「血海」の位置くらいは確認できると思いますので、そちらを参照してください。
よほど重症でない限り、これらの処置で改善していくはずです。

 

 

A-25 親指(手)の付け根の痛み

質問25
療術師の方を施術しました。左の親指の付け根、内側が痛いということでした。痛くなって半年くらいになります。仕事にも支障が出ているようなんです。それで、整体の時に肩甲骨を念入りに押してみました。また、斜角筋、腕の所も丁寧に押してみました。が、ちょっと良くなったかなぁというていどなんです。アシモミでも、肩甲骨を押して結構緩めているのですが、ポイントが間違っているのでしようか?

(埼玉県 Hさん)

 

回答25
おお、親指の付け根。
親指の付け根が痛いという症状は我々、我々施術者にはお馴染みのものですね。大抵の人は一度や二度、痛みに苦しめられることが多いものです。

実は割りと治しやすい症状ではあるんですよ。
文章を読む限り、正確に何処を押しているのかは分かりませんが、ポイントがちょっと違うような気がします。
斜角筋も原因の一つではあり得ますが、それよりも多いのは、上腕筋です。
上腕二頭筋に隠れるようにして存在するため、あまり意識されることもなく、またさほど有名な筋肉でもありませんが、療術師の指の痛みのケースでは、まずここが大きな原因の一つになっているはず。
そこに手が行って充分に圧をかけねば改善は遠いと思いますよ。
それでも、日々、仕事で使う部位ですから、少し時間がかかるかもしれません。でもやるとやらないとでは改善期間がまるで違いますから、是非にやるべきでしょう。

 

さて、たまたまHさんとは今週中にお会いする機会がありますよね。
そのときにそれどこにあるか、圧されるとどんな感じがするか、実際やってあげますよ。
それが一番早い理解の方法でしょう。

 

ST2でやるところではありますが、実際、そういう人(療術師仲間でしょ?)が来院されるわけですからなんとかしてあげたいですものね。
では4/10にお会いしたときに。

 

 

A-24 肩の挙上困難

質問24
こんにちは。早速ですが、先日、腕が全く上がらない方を施術しました。最初、足揉みで肩関節、肩甲骨、僧帽筋、肘、上腕の反射区をもんで筋肉を緩めた後に整体-うつ伏せで僧帽筋、首、肩甲骨を指と肘で押してみました(仰向け-斜角筋、胸部、経絡伸展も)。すると、その場で腕が90度上がるようになり、その後2,3日して自由に動かせるようになったようです。すごい効き目だなぁと感激しました。このような症例の場合、押す場所はこれでよろしかったですか?それとももう少し別の所も押せばもっと良かったですか?

(埼玉 Hさん)

 

回答24
ほう!
まず、症状が改善して良かったですね。その場で90度挙がり、2~3日で自由に動かせるようになった・・・・これはもう言うことないです。理想的だと思いますよ。

 

さて、ご質問の趣旨は整体において、うつ伏せ基本手技(5番、6番、7番)さらに仰向け基本手技1番、2番、4番で良かったのかどうか?ということですが、結果が良ければザッツオーライ!ですから、それで良かったと思います。特に効いたのは斜角筋だと思いますよ。肩が痛くて挙がらない原因の一つとして、斜角筋異常がありまして、結構、頻度が多いのです。今回は斜角筋問題だと考えて間違いないでしょう。

 

肩が挙がらない原因は色々あるのですが、もし典型的な五十肩なら、実はそれでは充分ではありません。St2で習うのでここでは詳述しませんが・・・(っていうかできるものではないのですけれども)

 

しかしこの度は足で事前に身体を緩めたという方法を採ったということ。そして、見た目の症状ほど重症ではなく、斜角筋がメインの問題であったというところに早い改善があったのだと思います。

 

皆さん、こういう人ばかりなら助かりますけどね。実際、これから歪みが深くて改善させるのに苦労する五十肩のクライアントさんに出会うことがあると思いますけれども、一例でもこういう症例を経験していると、目に見えた改善がなくとも、必ず影響を与えているはずだと確信を持てます。そういう意味で、今回の経験は貴重です。二重に意味で良かった!と申し上げたいです。

 

話は前後しますが、他の施術部位、施術法があるか?という問いにはついては、あるにはあるのです。つまり斜角筋以外でそういう問題を引き起こしている場合の処置です。しかし先ほど述べたようにSt2でやることになっています。これは対面でかつモデルを使って施術を見せないことには説明しようがありませんので、この段階では勘弁してください。
(決して出し惜しみしているわけではないので誤解しないでくださいね)

 

それにしても頑張ってますね!非常に心強く思います。良き施術家になるのを心待ちにしてます。楽しみです。

 

 

A-23 下肢知覚障害の踵痛

質問23
下肢知覚障害の方に足もみをして半年くらいなんですが、最近知覚が戻りつつあって踵の痛みを時々訴えられるのですが、どこか整体でアプローチ出来るところはありますか?(その方は普通に椅子に座る姿勢が出来ません。ドクターの指示で筋力トレーニングやウォーキングを頑張ってなさっています)

(東京 Tさん)

 

回答23

椅子に座る姿勢が出来ないほどですか・・・
ふむ、最近、感覚を取戻つつあるとのことですから、痛みは辛いですが、逆にいうと良いことでもありますね。半年間の施術の成果が現れつつあるということでしょうか。そういう意味では良かったと思います。

 

さて、整体的なアプローチということですが、2箇所のポイントで8割~9割方の踵痛を軽減することが可能です。

 

一つはヒラメ筋アプローチ。
ふくらはぎの真ん中、アキレス腱との境目あたりに「承山」という有名な経穴があります。その承山を目安にして、やや脛骨寄り、或いはやや腓骨寄りに「ヒラメ筋第2トリガーポイント」が形成されている可能性がありまして、もしそこが活性化されて踵に痛みが起きているなら、まさにソコがポイントになります。
まずここをファーストチョイスでアプローチしてみてください。

 

次に可能性があるのは「足底方形筋」という筋肉にTPが形成され活性化した場合の踵痛です。これは名のとおり足底部にあります。 反射区でいうと左足ー直腸、右足ー小腸下部に相当するでしょう。

他にもないことはないのですが、今挙げた2つ部位が一番多いケースですから、試してみてください。

 

A-22 大腿胆経と中殿筋、小殿筋の圧痛

質問22
大腿胆経を押すと痛がる方に、そこは何ですか?と聞かれますが、どう答えるといいですか?大抵、中、小殿筋も痛がる方お多いようなんですが…(東京 Tさん)

 

回答22

大腿胆経は筋肉的には外側広筋と言いますよね。
実はこの外側広筋は人体の中でも最も早くトリガーポイントが形成される筋肉の一つです。
子供の成長痛の原因にもなりますし(股関節外側の痛みとして感じることが多い)。

圧すと酷く痛むことが多いのは、大概の方がこの部位にトリガーポイントを保持しているからに他なりません。

中殿筋も小殿筋もそうなんです。人は歩き始めるとここに非常に負担がかかる構造になっています。人間は殿筋を使ってあらゆる活動をするわけですから、過剰負担になりやすく、そして外側広筋と同じようにトリガーが形成され、圧されると痛むと・・・・

こうして見ると、大腿部にせよ、殿部にせよ、横サイド(胆経)が痛いですよね。
一般的の方に具体的な筋肉名やトリガーポイントの説明をしても分からないケースが多いので「普段から負担のかかる部位なんですよ、だから問題が起きやすいんですね」というくらいの説明になりますでしょうか。少なくとも私はそんな感じで説明しています。

 

 

A-21 ギックリ背中

質問21
ギックリ腰でなくギックリ背中?というのでしょうか?
そのような痛みの場合は、どう施術をするといいですか?
足もみとやはりフル整体が一番なのでしょうが、特にポイントにおいた方がいいところはあるのでしょうか? (東京 Tさん)

 

回答21

ギックリ腰ではなくギックリ背中。
確かにこのような病態があります。
そしてギックリ腰のように、要因が複雑ということはなく、比較的対処しやすいケースが多いものです。

ほとんどの場合、脊柱起立筋が問題となっているでしょう。


中背部、もしくはそれより上の脊柱起立筋にアプローチすることになるのですが、脊柱起立筋のうち「腸肋筋」は他流派でも、第二行線とか第二ラインと呼ばれていて、施術の対象にすることが多いのですが、「最長筋」は硬く筋張っているため、施術の対象にしない、どころか、施術してはいけない、という部位に指定している流儀さえあります。

 

しかし、この最長筋の筋腹上に問題が起きて「ギックリ背中」(あるいは通常の背部痛等)の原因になっていることが多い為、当流では最長筋の筋腹を施術します。ただし、筋腹ですから不安定になりやすく、初学者では良い圧が与えられず、クライアントの不評を買う可能性さえありますから、基本手技の中には入れていません。

 

しかしながら肘の感覚を磨く訓練として、うつ伏せ状態で肘で脊柱の際の左右を施術する場面があったと思います。実はあの手技の応用で最長筋の筋腹を安定的に押圧することが可能となります。
肘の角度を甘くして尺骨にて最長筋を横断するように圧すと、極めて安定的に最長筋-筋腹を捉えることができますので、機会があったらやってみてください。

 

本来、これはステップ3で行う手技ですから、習わないと中々上手くできないかもしれません。そういう場合はやはり足+全身整体で行うしかないでしょう。

 

※筋腹=「きんぷく」と読みます。筋肉と筋肉の狭間ではなく、盛り上がっていて、押圧しづらい部位と言えるでしょう。したがって、従来の指圧系流派では施術の対象にすることはあまりありません。また、西洋の医療系マッサージではストローク技法といって筋腹そのものを弾くようにしてアプローチするようです。当流儀では、この筋腹を安定持続圧にて処理することになるのですが、あまり類例がない方法です。基本手技の中にも肩部とかへのアプローチはこの手法を用いていますよ。