A-20 ギックリ腰の対処

質問20

質問A-6の中で、部分よりも全体という解説がありました。
部分はST2,3で解決するとありましたが、例えばギックリ腰のように今すぐここで、少しでもいいからどうにかして欲しいという人の場合、「それでも全体」というわけではないと思うのですがいかがでしょうか?質問は、ギックリ腰の人にしてあげられることはなんでしょうか? です。よろしくお願いいたします。 

(千葉県 Mさん)

 

回答 20

そうですね。ギックリ腰はちょっと特殊な病態になるでしょう。全身施術が建前とはいえ、長い時間かけて施術すること自体、クライアントの負担になるかもしれませんし、おっしゃるとおり、その場で、少しでも楽になってもらいたい症状の筆頭とも言えますしね。 

 

詳しくはステップ3-症状別処方箋(施術公式1のギックリ腰編)の処で勉強することになるのですが、ギックリ腰はかなりのベテランでも難しいケースが出てきます。 

 

基本は腰痛と変わらないのですが、一つ違うのは深部脊柱筋か、腸腰筋にトリガーポイント(以下TPと略す)が形成され、それらTPの急性活性化が起きて、かつその影響によって該当筋の短縮膨大が起きます。そして、そのことで、椎骨を引っ張り、椎骨自体の急性亜脱臼状態が引き起こされて、どうしようもない激痛に悩むハメに陥るわけです。

  

つまり、TPの関連痛にとどまらず、椎骨の微細なズレを生んでる可能性が高い病態なわけです。そこで無造作に急所(TP)を押してしまうと、ズレが大きくなって、楽にさせるどころか、悪化させてしまうことにもなりかねません。 

 

そういうリスクを孕んでいるために、ベテランでも迷いが出て、二の足を踏んでしまうというケースもあるというわけです。 

 

そこで標準的には、発作が起きて数日経ってから施術を行うという考え方になります。数日経てば、急性椎骨亜脱臼によって起きている炎症は止まっているでしょうから、まずそこで悪化リスクを減らせると。そして、一番楽な姿勢を採ってもらって(おそらく横向きだと思います)、深部脊柱筋から、静かに丁寧に触診するようにTP活性が起きている部分を精査して、見つければそこで持続圧。この時、強圧は禁忌です。深部脊柱筋で見つからなければ、脊柱起立筋で見つかる可能性が大です。 

※見つけるという意味は、ジャンプサインと言ってビクッとするはずですから、分かると 思います。或いは「特に痛みが走るところを教えてください」と言えば良いわけです。

 

どうしても見つからなければ、仰向けに寝て頂いて(可能ならば)、腸腰筋にアプローチするということになります((どの道、腹部操作は必ずやりますが)

 

これらの手順を守れば、悪化リスクを極限まで減らせて、短期間で軽快させることができるはずです。

 

しかし、基本手技の段階では「横向き腰椎際」として深部脊柱筋へのアプローチは習っているものの、腹部操作(腸腰筋アプローチ)はやっていません。

 

そもそも腹部は検校という位になければ触ることも許されなかったという歴史があります。そこまで仰々しくはありませんが、確かに基本手技の段階ではやるのは時期尚早ですから、以後のステップにてと・・・そういう風にさせて頂いております。

 

腸腰筋というのは直接アプローチが一番効くのですが、足の裏のアプローチでも緩みます。反射区でいうと横行結腸や小腸のある部分、そして腰椎の反射区でも緩みやすいと思います。

 

したがいまして、現段階での対処は足裏に対する入念なアプローチ。そして横向きでの深部脊柱筋(腰椎際)。

 

殿部筋群は普通の腰痛とは違って直接原因の第一位ではありませんが、間接的には必ず関与していますから、合わせて行います。

 

合計ざっと30分くらいでしょうか。

 

ぎっくり腰対処は難易度が高いものです。

昔、ギックリ腰専門の整体屋みたいなものがあり、名物的な横柄&頑固施術者が居て、かなりの荒療治をしていたと言います。

その場の寛解率は約50%。残りの50%はかえって悪化したそうですが、それでも成り立っていたのは昔の人はノンビリしていて、悪化したからといって誰も訴えたり、文句を言わなかったという"時代"のおかげでしょう。

 

現代は悪化リスクを極限まで減らして、尚効果のあるものが求められておりますので、益々難易度が高くなる、ということになるわけです。

 

それにちゃんと応えるように処方箋化しておりますが、やはり段階を踏まないと、いっぺんに教えきれるものではありません。

 

※ズレた椎骨が元に戻るのか?という質問をよく頂きます。結論からいうとTPを沈静化しますと自然に元に戻るのです。昔風の荒療治はズレた骨を直接元に戻そうとする方法ですから、半分は失敗し、ズレ幅が大きくなって悪化するという転機を辿りました。

 

A-19 布団施術での注意点

質問19

布団でうつぶせ施術をする時、クライアントさんにどのようなサポート?当て物や顔の位置、向きなどきをつけた方がいいポイントはありますか?

 

回答19
布団でのうつ伏せが一番面倒ですよね。
これは中々文章で説明できないので、別枠「布団バージョン」というのがあるわけです。
非常に説明しづらいのですが、なんとか試みてみましょう。

 

まず一つのやり方は適当な固さの枕を額に当ててもらうという方法です。
これによって首がまっすぐになりますよね。
ところがこれの欠点は顔面を額だけで支えるため、首に力が入ってリッラクスできなということになるわけです(両腕を胸のところに置き、それによっても支えを作れるにしても)。

 

そこで、オイルマッサージ等で採用されているように首を横に向けてうつ伏せになってもらうという方法を採ることになります。


しかし、これにも欠点があって、当流儀の首まわり、肩まわりの施術が困難になりますね。と同時に首の硬い人はその姿勢自体が苦しいことにもなりかねません。

 

そこで、うつ伏せでの施術は中背部から下のみと割りきって、できそうなら、首まわり、肩まわりの施術を行い(メインにはしませんが)、本格的な首・肩施術は横向きで行うと・・そういう方法がベストであろうと・・・そう考えて布団バージョンを作っております。

 

横向きの場合、首はしっかりできますよね。問題は肩部なんです。
ここがちょっと不安定になりやすいので、注意が必要です。

 

こればかりはその人の身体の使い方とか、勘の良さとかが問題になりますので、文章表現では限界があります。
工夫されたら良いと思いますよ。


当流儀においての肩部は非常に重要で、ドミノ倒し理論からいっても、ここが不十分だと治りが遅い場合が出てきます((病態にもよりますが)。意識してやってほしいところです。

 

※布団バージョンを習うためだけに遠方まで行くのは効率的ではありませんよね。現在、なるべく現地で布団バージョンの一日講習ができるような仕組みを考えておりますのでしばしお待ちを。

 

A-18 坐骨神経痛の予兆?関連症状?

質問18

例のクライアントさん(A-17関連)、その方の事を知っている方から、情報を得たのですが、 昨年6月くらいから洗濯物を干すのがきつく感じるダルさがあり、 11月くらいは膝の痛みを主訴に整形外科に通院していたとの事ですが、坐骨神経痛に関連するものはありますか?


回答18
なるほど・・・・
関係があるといえばあるかもしれませんし、別件かもしれません。

 

怠さというのは、副交感神経反射ですから、なんらかの身体の異常を治癒しようとする人体の自然な反応です。
別にこれは施術しなくとも起きるわけで、身体の不都合がその時点であったとみるべきでしょう。
しかし、今回の坐骨神経と関連するかどうかは分かりません。

 

次の昨年11月の膝痛は、坐骨神経と関係する可能性は高いですね。
膝関節というのは足関節と股関節の補正器官ですから、膝の問題は膝だけにはとどまりません。


股関節に異常が出なくとも、それを支える殿部筋や腰筋にトリガーポイントが形成されるキッカケになったかもしれません。

 

それだけでも充分に坐骨神経痛を悪化させる要因となりますから、関連は大いにある、と思ったほうがいいでしょう。


そういうことであれば、三関節原理(足関節、膝関節、股関節の関連性の原理のこと)を使って施術するほうが良いこともあります。

 

足揉みは反射区を基にしておりますが、期せずして足首&膝が緩みますから、三関節原理の一部をちゃんとやっていることになるわけです。そして殿部筋アプローチはそのまま股関節アプローチにもなりますから、まあまあカバーできるはずです。

 

ですから、A-17で呈示した施術の組立で大きな間違いはないと思いますよ。

 

A-17 St1段階における本格的な坐骨神経痛アプローチ

質問17
例の坐骨神経痛の方を施術させていただくのですが、1時間半という時間を確保出来ました。ステップ1のフルバージョンをしたほうがいいですか?足もみと、どこか重点的に施術した方がいいですか? あまり今の状態の詳しい情報は入ってこないので、先生も回答しづらいとは思うのですが、アドバイスがあったらお願いします

(原文ママ)

 

回答17
なるほど。90分の施術時間は確保できたと・・・St1の段階で、どのように施術を組み立てたら良いのか?ということですね。


これは結構、回答が難しい質問です。

 

本来、St1の段階ではとにかくフル施術をして施術そのものに慣れて頂くと、そういう趣旨なわけですから、それをやって貰いたいのはヤマヤマなんですよ。

しかし、明確な症状を抱えているわけですから、こちらの都合で一方的な施術をするわけにはいきませんね。


さて、90分か・・・
まず、足の施術をやってください。
これで身体は随分緩むと思います。
それには多分、30分やそこらかかりますから、残り60分・・・
うつ伏せになれるようでしたら、殿部回りを中心に下半身を丹念に緩めてください。
そして、横向きでこれも殿部中心に下半身アプローチということになります。(8.5も忘れずにね)


要はその症状で苦しまれているわけですから、その症状を取ることが優先になるわけです。全身が建前とは言え、現実的な選択としては、以上にようになりますでしょう。


St3段階においてはまたアプローチが違ってくるのですが、現状の段階では今述べた方法が確率的には一番改善していく可能性があると思いますよ。

 

この方法でも多分タイムアップしてしまうと思います。ですから、症状の強い側を重点にされたら良いでしょうね。

 

熱意が空回りしても仕方ないのですが、ある意味、今の段階では強い熱意が必要ですよね。その熱意によってどこまで、知識と経験不足をカバーできるか、ということにもなります。
頑張ってください。経過をお知らせ頂ければと思います。

 

 

A-16 左側から施術する理由

質問16

すごく馬鹿みたいな質問なんですが、整体をする時左側から右側をする、という事の理由がありますか?もし、横向きの場合右下からやってしまった場合、クライアントさんの体に変な負担がかかったりしますか? 足もみのように、心臓があるから左から施術する、のでしょうか?(原文ママ)

 

回答16

馬鹿みたいな質問ではありませんよ。慣習的に行なっている順番のルーツを振り返って考えてみる良い機会かもしれませんね。

 

足揉みでも英国式などと呼ばれている流派では右側から施術する、と聞きます。これは大腸が飲食物の水分を吸収し糞便を作って行く際に右上行結腸から左側にある下行結腸、S字結腸へ移動していく"流れ"を促進する為と説明しているようです。

なるほど、英国式とは糞便主義か!

(と皮肉っちゃイケマセンな)

 

処変われば品変わる、で様々な理屈が成り立ちますね。

 

東洋系の手技は足揉みに限らず、左側から施術することが多いものです。循環の左側優位(左心臓とリンパ液還流)と言えばそれもそうなんですが、そもそもの発端は黄帝内経(こうていだいけい)という1800年前に書かれた東洋医学の原典ともいうべき書物に遡ることができます。

 

この書には太陽の一番高い時点(南天)で人がそれに向かうとき、日が昇る東は左側になり、日が沈む西は右になる・・・と。

当然、日が登ってくる左側は"陽"で日が沈む右側は"陰"である・・と。

ここで左右の陰陽が生まれました。

 

そして陽は強く、陰は急所という考え方から、まず刺激でビックリさせないように刺激に強い陽側、つまり左側から施術するという方法が一般的になったようです。

 

それを指圧、按摩等の各流派も踏襲して、こんにちまで来ているわけです。しかし、そのルーツまで知っている人はあまりいないでしょう。ここで、貴方の質問をキッカケに多くの人が知ることになったわけですから、決して馬鹿な質問ではなかったということになるじゃないですか。あっぱれ!です。

 

さて、右側からやってしまったというチョンボはどうなのよ?ということですが、結論からいうと大きな問題は起きません。

しかし、そういうチョンボを起こしてしまうというそそっかしさ、集中力の欠如は大いに問題です。

 

そういうことを鑑みると全体として良い結果を生まないような気がしますね。

 

※右下にして寝ることができないという特別な事情があれば別です。

 

 

A-15 斜角筋を押したら坐骨神経痛が悪化した?

質問15

先日、質問させて頂いた坐骨神経の痛みがあるクライアントさんを施術しました。横向きで斜角筋を押圧したとたん坐骨神経の痛みが襲って来たと言います。
 こういう時はどう対処したらいいのですか?

私の今のレベルで施術をしていくことが出来るのか?もし出来るとしたらどうしたらいいのでしょうか?ちょっとビックリして弱気になりそうです…

施術の状況

(足もみをして、うつぶせ、左の横向き、そして右の横向きをして斜角筋を押し終わった瞬間)

先ほど、その方から安静にしているとスゴく楽なので効いていると思います、と連絡を頂いたのですが…

(東京 Tさん、St1修了)

 

回答15

気になったのは斜角筋を押したタイミングで、というところでした。

基本手技では斜角筋は少なくとも腰部、殿部よりも先にやるところですよね。

 

斜角筋は遠くても指先、胸、肩甲骨内縁部へ響かせることになるわけですが、実は非常に影響力の強い箇所でもあるのです。

 

今回のようにさすがに坐骨神経まで一気に影響を及ぼすことは珍しいのですが、だからといってないというわけではありません。

これは専門的には損傷伝導系と言いまして、一種の経絡機序になります。ですから、斜角筋をやるのであれば、基本手技の順番でされたほうが良いですね。

 

さて、それでもこれはレアケースでしょう。

かなり、敏感な体質なのかも知れません。

 

安静にしていれば楽だということは大きな目安になります。クライアントさんが言うとおり効いているんですよ。

 

安静にしていれば楽だ、という言葉が聞けるかどうか。この部分は施術者にとっては非常に重要です。

 

楽に治せるケースばかりではありませんからね。紆余曲折を経て、ようやく症状が治まっていく・・・ということもこれからたくさん経験すると思います。

 

私も施術の最中から痛みが強まって、自分自身途方に暮れたなどということもありました。(その方はほぼ完治しています)

 

なにせ治していくわけですからね。色んなことがあると思った方が良いでしょう。順調な施術ばかりではありません。

 

今回はちょっと敏感な方で現時点では難易度が高かったかもしれません。でも基本手技段階でも、悪化させるということは無茶揉みしない限りありませんから、安心してやってください。ただし中途半端に終わらせてしまうと、悪い印象だけが残ってしまうということにもなりかねません。一旦手がけたら、結果が出るまでやる!くらいの気持ちでやったら良いと思います。

 

それと、やってる方が慌てふためいてしまうと、クライアントさんは酷く不安になりますからね。そこらへんは気をつけてください。

(ま、ここらへんは本業のほうで良くご存知でしょうから、あくまで一般論として)

 

実際は難しいところですよね。今の段階でどこまで、どういう人を手がけるのか?

考えるとキリがなくなりますでしょ。

一つの考え方の基準は基本手技を踏襲して悪化させることはない!と。これを基準に考えてください。

(手技適応症じゃない場合は別ですよ。炎症箇所とか)

 

※損傷伝導系=悪い箇所へ響いていく現象。極端な場合はどこを押してもその部分へ響いてしまうこともある。

 

A-14 短時間での坐骨神経痛アプローチ

質問14
愚問なのは百も承知なんですが 座骨神経で足のしびれまである方がいたのです。その方との時間が5分しかない状況でした。(治療院でも自宅でもない場所で、その方は私が足もみ、整体をしている事をご存じです…)今後もその方を施術する事は出来るかわからないのですが、あまりにも辛そうでした。
その5分、何か出来るとしたら 何をしてあげる事が出来たのか?だんだん疑問が大きくなって来ました。
様々な状況説明が不足していて本当に変な質問だとは思うのですが…

 (東京 Tさん、St1)

 

回答14
愚問でもなんでもありませんよ。目の前に病んでいる人がいて、それを何とかしてあげたいというのは尊いことです。すべからく施術家というのはそうあらねばならないと思います。

 

ただ、おっしゃるように、状況説明が不足しておりますし、この段階での知識が充分ではないので、ちょっと説明しづらいかな・・・

 

そういうことで、ステップ1でやったところを基に説明しましょう。


坐骨神経痛の原因第1位はお尻にある筋肉(小殿筋)です。
第2位は梨状筋といって、やはりこれもお尻にある筋肉です。

 

ということは・・・
殿部へのアプローチがトッププライオリティとなるわけですね。
基本手技でやったとおり殿部筋操作をやることになるのですが、5分というのは・・・中々厳しい。

症状の強い側だけに絞ってやるしかないでしょう。

 

また、大腿部裏からふくらはぎにかけての痺れ、痛みなら、うつ伏せを中心に施術します。
大腿部、下腿部の外側に症状が出ているなら、横向きにて殿部アプローチです。

 

単独原因であれば、的確なポイントで5分も施術すれば、かなりの改善が見込めるのですが、複合的な要因もあります。

長い期間、坐骨神経痛に苦しめられている人はまず複合的な要因でしょう。
つまり、殿部以外にも間接的な原因がたくさんあるということになります。

こうなりますと、5分では私でも無理ですね。
整体は道理であって奇跡ではありません。
そういう場合はちょっと悔しい思いをする、もしくは失望させるかも知れませんが、やってあげようとする意志そのものが尊いわけですからね。

 

坐骨神経痛はステップ3にて詳しくやる予定です。

難治性の坐骨神経痛もあるのですが、実はそのケースは5%あるかどうかです。
つまり、ほとんどが我々の守備範囲に属していて、完治もしくは寛解させることが可能な病態です。

 

A-13 斜角筋操作の意義(St1修了段階)

質問13
斜角筋を押すことによって何の効果がありますか?

(東京 Hさん、St1修了段階)

 

回答13
そうですね、これはとても重要なので、ステップ2において余すことなく説明することになってます。

 

斜角筋操作が当流儀の特長の一つですから、ステップ2まで待ってられない!早く教えてくれ!という方もいるでしょうね、なるほど~。
参考になるご質問有難うございます。

 

先走ることにはなりますが、少し説明しましょう。

斜角筋自体に痛みやコリ感を感じることはまずありません。
ところが、様々な症状(一言には言えません)の原因を作る筋なわけでして、これを冗談めかして「フィクサー筋」(黒幕的筋肉)と呼んだりもします。
例を挙げると五十肩、手指の痛み、背中の痛み・・・など。

 

そうした直接的な痛みを送る場合もありますし、胸隔を引っ張り上げ、呼吸や拍動に影響を与え、徐々に身体にダメージを与えて、様々な病の間接的な原因にもなります。

まあ、それやこれやで、大事な筋なんですよ。ですから、基本手技の中に組み込んで、今のうちからしっかりとアプローチできるようにして置きましょうと、そういう意味もあるのです。

 

勿論、肩、首のコリの軽快感を長持ちさせたり、治癒を早めたりする実利的な側面もあります。

クライアントが嫌がって、2度とこれをしてくれるな!と言わない限り、斜角筋の操作は省略すべきではないと思いますよ。

 

A-12 内転筋操作後の熱感

質問12
足揉み後、うつ伏せ、横向きの時、内転筋を肘圧してすぐに熱くなってきた!と言われました。腰椎に棘があるとの事ですが、関連はありますか?(東京 Tさん、St1修了段階)

 

回答12
なるほど、内転筋肘圧にて熱感があったと・・・・
腰椎に棘があるのは基本的にこの症状には関係がないと思います。

でも時々、内転筋押圧で熱を感じる人はいるんですよ。
内転筋は経絡的に肝経の支配が強く、そしてこの肝経は熱に関連する症状を引き起こすことがあります。
原因不明の高熱などはほとんどこの肝経の歪みが原因なのです。

そうした関連もあって、内転筋操作における熱感現象が起きるのでしょう。少なくとも私はそう思っております。

 

※私も内転筋操作によって「熱くなってきた!」というクライアントを少なからず診てきているのですよ。

 

A-11 指圧との違い

質問11

よく、この整体は指圧とは違うの?と聞かれます。どう返答するといいのか教えて下さい。(東京 Tさん、St1修了段階)

 

回答11

相手が素人ですから、説明は分かりやすく簡単に言わないといけませんよね。

 

現在、「指圧」と呼ばれている施術方法は(99%以上)、圧を安定させることはありません。逆にいうと圧を常に変化させて押す技法を採用しているわけです。

一見、ソックリに見えますが、実は全く違う効果を生み出します。

 

当流儀では教えたとおり、圧を安定させる技法、即ち「安定持続圧」をメインに行なっているのですが、この方法こそが圧を深部に浸透させ、深層筋トラブルやトリガー処理に最も適した技法であると経験上、確信している次第です。

 

※圧を常に変化させる押圧法は「圧勾配」(あつこうばい)と呼ばれ、国家資格系の学校では全てこの方法で教えています。